フィルムコーティング錠: 医薬品コーティング工程について
Enero 11, 2023
医薬品製造において、錠剤への適切なフィルムコーティングの選択は大切です。コーティング工程は技術的に発展し続けています。そして、製剤の種類によって異なります。
今回は、フィルムコーティング工程における重要な要因、および最適なフィルムコーティングの選択法についてご説明します。
フィルムコーティング錠とは?
フィルムコーティングは、錠剤や丸薬の表面の周囲に薄く均等に連続したフィルムを塗布することで形成されます。フィルムコーティングには複数の利点があり、錠剤を見分けやすくしたり、飲みやすくすることもできます。あるいは、錠剤からの薬物放出プロファイルの制御も可能です。
フィルムコーティングは、一般的に最も広く使用されている錠剤へのコーティング法です。フィルムコーティング工程は複雑なことが多く、技術的に高度に進化したものもあり、デザインされた目標を達成するために計算モデルの利用や複数のコーティング技術を組み合わせることもあります。医薬品メーカーが選択するコーティングの種類は、有効成分の性質、薬物送達法や消費者のニーズなどの要因に影響されます。
フィルムコーティング錠の目的: コーティング錠と素錠
フィルムコーティング錠は複数の利点があります。製造中から保管中、そして患者さんが服用するまで素錠を保護することができます。
製造及び保管期間
多くの医薬品有効成分(薬物)は、光、酸化、水分などに不安定です。錠剤をフィルムコーティングで包むことにより、薬物をこのような外部からの影響から保護することができ、長期の保管期間後にも設定通りに製剤の効果が維持されることを保証します。
薬物放出パターン
フィルムコーティングによって、薬物の放出を体内で部位、速度及びタイミングの点で制御することが可能です。これは、遅延放出や、設定どおりに一定量を放出する徐放性を必要とする薬物に有効な手段です。
患者さんの服薬コンプライアンス
経口服用できる錠剤は、患者さんの服薬コンプライアンスを向上できる最良の方法です。経口製剤は最も侵襲性が低く、医薬品メーカーと患者さんの双方にとって比較的費用が低く抑えられる投与方法です。フィルムコーティングは、錠剤を飲みやすくすることで患者さんの服薬コンプライアンスを向上させます。
腸溶性コーティング錠と速放性コーティング錠の違いは?
遅延放出や腸溶性コーティング錠は、刺激の強い有効成分から胃粘膜を保護するために広く使用されます。あるいは、胃液に不安定な有効成分を保護するためにも使用されます。速放性フィルムコーティング錠とは異なり、腸溶性コーティング錠は胃酸で溶出せず、小腸の標準的なpH環境で溶出します。一方、速放性フィルムコーティングは、服用後速やかに溶出して有効成分を短時間で放出します。
錠剤コーティング工程
錠剤のコーティング工程では一般的に、素錠の表面に薄いポリマーのフィルムを噴霧します。色素、ポリマー、可塑剤などの特定の成分を配合したコーティング液を回転する錠剤層に噴霧し、高温の空気によって錠剤表面から溶剤(水など)を蒸発させます。そして、素錠の表面に薄いフィルムが形成されます。
コーティング処方と製造プロセスの改善によって、生産効率を向上させるための技術革新が進んでいます。使用機器や製造プロセスは、メーカーによって異なりますし、製剤によっても様々です。
錠剤用コーティング液の溶剤
製剤の性質と目標によって、フィルムコーティング液の溶剤を選択します。一般的な選択肢として主に2つあります。有機溶媒および水系によるフィルムコーティングです。
有機溶媒系フィルムコーティング
有機溶媒系フィルムコーティングは主に、有効成分が水分に非常に不安定な場合に使用されます。有機溶媒系プロセスに適用されるポリマーは、有効成分を水分から保護して加水分解を低減することに優れています。これは水分に不安定な製剤の製造には有効な解決策ですが、有機溶媒の使用は安全性や高い費用の面では懸念があります。
水系フィルムコーティング
水系フィルムコーティングは広く実績があり、適用としても容易な方法です。有機溶媒系コーティングと比較して優れた点としては、環境汚染が少ないこと、爆発のリスクが低いこと、作業者の安全性向上などが挙げられます。水系フィルムコーティングはこれまで技術的に進歩しつづけ、生産性の高いコーティング処方で一般的な装置タイプにおいてスケールアップも容易となっています。
オパドライ®フィルムコーティングプレミックス
カラコンのオパドライは、ポリマー、可塑剤、色素を混合した粉末プレミックスで、処方のカスタマイズも可能です。有機溶媒、水系いずれのシステムでも使用できます。オパドライフィルムコーティングによって、様々なタイプの素錠を、光沢の高い美しい外観に変化させます。
フィルムコーティングによる解決策をお探しの際は、カラコンにお問い合わせください。60年以上にわたる医薬品、栄養補助食品、動物の健康食品での実績に基づき、適切なフィルムコーティングの選択についてご提案します。もしくは、オパドライの製品情報についてはこちらをご覧ください。