酸化チタンの欧州連合(EU)における規制と医薬品への影響
Enero 13, 2023
医薬品業界では長年、錠剤フィルムコーティングの隠蔽剤として酸化チタン(TiO2)を汎用してきました。有効成分の分解を防いで安定性を向上するとともに、斑点状の素錠表面をカバーして白い外観に仕上げて、市場性をより高くすることができます。しかし、最近のEUによる酸化チタン使用の規制発令によって、医薬品業界も今後の動向を注視しています。
EUは、食品添加物としてのE171(酸化チタン: TiO2)の使用継続を禁止する決定を下しました。この規制発令は医薬品には直接は適用されませんが、酸化チタンを使用している多くの医薬品メーカーが懸念を持っています。今回は、現状と利用可能な代替製品についてご紹介します。
酸化チタンとは?
酸化チタンは、鉱石、砂、土壌に含まれる金属で、さまざまな製品の機能性成分として汎用されています。特に日焼け止め剤では、日光の紫外線を遮断するために使われています。また、食品用着色料(E171)としても使用されています。栄養補助食品、サプリメントおよび医薬品の錠剤用フィルムコーティング中にも含まれています。
錠剤における酸化チタンの機能
医薬品業界において、錠剤用フィルムコーティング中での酸化チタンの明るい白色隠蔽剤としての機能は高く評価されています。そのうえ、紫外線による有効成分の分解を防ぐこともできます。酸化チタンは、光照射による分解や劣化からの保護に加えて、製品の外観の改善によって市場性を向上するために重要な役目を果たしています。
EUにおける酸化チタンの分類と規制: 現在の状況
欧州委員会(EC)は、EU全体で食品添加物としての酸化チタン(E171)の使用禁止を発令したため、食品業界で段階的に使用中止を進めました。酸化チタンの使用禁止は食品に対してのみで、医薬品には適用されていません。しかしながら、欧州医薬品庁(EMA)の関連機関は、将来、医薬品への類似の使用規制が可能か検討するために、酸化チタンの現在の使用量、酸化チタンの代替原料などについての追加情報を収集しています。
その結果、医薬品メーカーは医薬品への使用規制が発令された場合に備えて、酸化チタンの代替品を探し始めています。
酸化チタンの錠剤への添加は安全か?
酸化チタンの錠剤への添加により、ヒトへの安全性に問題があるとする有力な根拠は現時点で存在しません。EUの酸化チタン使用規制は食品添加物に対してのみで、医薬品には適用されませんでした。実際に、米国食品医薬品局は、錠剤に添加する食用着色剤として酸化チタンを承認しています。酸化チタンの添加量は、錠剤質量の1%未満です。
しかしながら、EUの決定は酸化チタン使用自体の懸念が高まっている兆しとみられます。酸化チタン代替品の利用が可能になった際には、酸化チタンの使用は避ける傾向になると考えられます。
2019年にECが公布しましたが、労働者の安全性確保の観点から、酸化チタンは特定の粒子サイズの吸入される場合に発がん性物質との表示が求められました(Reg2020/217)。しかし、この規制は2022年11月に、欧州司法裁判所によって以下の根拠に基づいて取り消されました:
「第一に、ECは、分類の根拠とした研究の信頼性および許容性の評価は明白に誤っていました。第二に、その分類基準は、がんを誘発する本質的な特性を有する物質にのみ適用されます。」
この分類・表示規制の廃止は、ヨーロッパの食品への酸化チタン使用の禁止には影響がなく、医薬品における酸化チタン使用規制の可能性は依然として懸念されています。
酸化チタンの代替品
酸化チタン及びフィルムコーティングに関して、EUでの規則が医薬品業界に難問をもたらしていますが、これはチャンスともいえます。OTC製品に酸化チタンを使用しない場合でも、飲みやすさ、色調の安定性、隠蔽性、生産性を改善できる、より好ましい代替品についてカラコンがサポートします。
酸化チタンの天然系代替品
Nutrafinish® 酸化チタンフリーフィルムコーティングは、酸化チタンを使用時と同等に高品質な外観の、天然系原料を基本とした酸化チタンフリー代替品です。
カラコンの製品開発部門は、酸化チタンの代替品として、天然白色鉱物の炭酸カルシウムを含有するコーティングが光による劣化から保護して製品の安定性を向上し、保管期間を延長することを確認しました。外観の色調の変化も抑えます。
時流は酸化チタンに否定的になりつつあるため、酸化チタン代替品を考慮し始める時期といえるかもしれません。今後長く規制上のリスクが少ない、新しいコーティングを検討する良い機会です。
カラコンの酸化チタン代替品による、製品の安定性改善と生産性向上についての情報をご参照ください。または、カラコンの担当者に(